声を大にして言いたい、今年の我が団の素晴らしかった点
我が団の定期演奏会が終わり、1年の区切りを迎えましたので、今年のサークル活動について思うところを振り返りたいと思います。
今年は例年になく素晴らしかった点があります。皆さんがどう思っているかはわかりませんが、私的にはとても素晴らしい点です。
選曲が良かった!
とにかくこれです。
それがなぜかを説明するために、私の思う「良センスな選曲」とは何かについて触れます。
まず我が団の特徴として
「合唱曲だけでなくPOPs曲や洋楽も合唱にアレンジして歌う」
という点があります。これは我が団のアイデンティティであり、他の団と差別化するために非常に重要な要素です。
この要素が、
「自己満足」
ではなく
「エンターテイメント性の優れた音楽の追求」
から具現されるものだと仮定しましょう。すなわち、「POPs曲を歌う」という状況の裏には、「自分が楽しむだけでなく聴いている人も楽しませる」という使命が生じているのです。
この使命を達成するために必要なことは様々ですが、私の考えるものの一つは「曲の知名度」です。
それではまず、POPs曲を歌うという意味は何かを考えてみましょう。
多くの人が知っている、なじみがある、一緒に楽しめるからこその"POPs"であるわけです。ゆえに「自分たちしか知らない隠れた名曲」は厳密にはPOPsとは言い難く、ただ自己満足の側面が強いです。「合唱曲に縛られない」という意味では我が団のアイデンティティを表面上達成するかもしれないですが、しかしエンターテイメント性の高い音楽を提供するという使命は達成しづらいわけです。
ここで、みんなが知っている曲を合唱にするメリット(エンターテイメント性を向上させるための要素)は
- 「あっこの曲知ってる」のワクワク感
- 「この曲が合唱になるとこんな音楽になるのか」という予想への充足または裏切り
という2点です。
「曲を知っている」という前提条件の下、1や2の要素が生じてきます。
これはまた別記事で書こうと思っていますが、音楽を聴いて「あっ良いな」と思えるとか、印象に残るというのは、ワクワク感や意外性に直面した時だと考えています。ワクワク感や意外性をうまく聴き手に与えるには、曲を知っているという前提条件がかなり大きく手助けしてくれます。
逆に知名度のない曲を歌うときは、曲への前提条件がない=他の知識(原曲など)と対比しながら聴くことができないため、どのような音楽を作ったとしても、単純な音楽勝負になります。それでは、わざわざPOPs曲を歌える我が団のエンターテイメント要素が2つ欠落していることになります。単純な音楽勝負は決して悪いことではありませんが、楽しい音楽を提供するための要素を2つ欠落している以上、あまりにももったいない事態です。
具体的に見ていきましょう。
過去を振り返ってみると、毎年自己満足感の強い曲が選出され辟易していたのですが、今年はそういった事態に見舞われませんでした。
しかし今年の曲は、例年に比べて知名度の高い曲が多かったです!
特に「時代」、「三日月」、「未来予想図Ⅱ」、また合唱界では有名な木下牧子の「方舟」など、曲名を聴いただけでメロディが歌えるような曲が多かったです。このためお客さんはなじみやすかったのではないかと思います。上に書いた使命をうまく遂行できる、エンターテイメント性の高い音楽を提供できる、理にかなった良い選曲です。
ところで、今年の定演では来客数が過去最高に多かったらしいです。
とっても喜ばしいことです。
それはもちろん渉外の方々やビラ配り人員が努力して情宣してくれたおかげであると思います。
でもその他にも大きな要因があると思っていて、それが「選曲の良さ」です。
例年、チラシやポスターを見て「曲名書いてあるけど知らんのばっかりやわ...」という状況がよくありましたが、今回は知名度の高い曲ばかりだったので「あっこんな曲歌うんや!おもしろそうやん、行ったろ!」と思って足を運んでくれた人は多かったはずです。特に近隣住民の人にはこういう些細なプラス性が行くか行かないかを左右する要素になると思っています。親しみが持ちやすいというのはエンターテイメントにおいて想像以上に大事なことです。
(ところで、集客があがった原因はもう一つあって、それは日程です。他の合唱団の定演と日程がかぶっていない、また直近に定演があるとリハや本番前の詰めで忙しく我が団の定演なんて行ってられない。という事態が怒り得ます。こうなると大学合唱団の学生はなかなか足を運んでくれないのですが、今回はあまりそういうことがなかったのかなと思います。今回は12月の少し早めの日程だったので助かりました。
しかし「来場者数増加の原因は学生客の増加」が正しいかどうかは来場者の年代別アンケートを見て比較してみないといまいち断言できないです。あくまで個人的な仮定です。)
最後にまとめますと、
○状況:「合唱曲に縛られずPOPs曲等も歌う」
○この状況に潜む使命:「エンターテイメント性の高い音楽を提供する」
○この使命を達成する1要素:「知名度の高い曲を選曲し歌う」⇐これが達成できていた
という論理で、今年の選曲は良センスなものだった、と結論づけることとします。
もっとも、今回の記事では曲の選び方にのみ注目し、個々の曲の音楽的な要素についてはまったく触れていません。選曲の仕方の方向性そのものは良センスであったというだけで、具体的な音楽的側面や演出の側面から高いエンターテイメント性を発揮で来ているかと言われると、多くの疑問が残ります。
今度は「エンターテイメント性の高い音楽とは何か」「POPs曲を合唱にする上で重要なことは何か」という観点から記事を書きたいと思います。
それでは。